俺様黒王子とニセ恋!?契約
そう言われて、私は初めて聞いた篤樹の第一声を口真似てみる。
それを聞いて、静川さんがブッと吹き出した。


「そうそう。あれな~。二年の時も三年の時も同じだった。四宮さんが聞いたのは、最後の年か」


懐かしそうに笑う静川さんに、私は、はい、と答える。


「社会人になってからの関係だと思ってたけど。……もしかして、高校時代も篤樹のこと好きだった?」


からかうように意地悪な視線を向けられて、私は思わず肩を竦める。
けれど誤魔化さずに、頷いて見せた。


「……私の大事な思い出です」

「へええ。そおおお」


間延びした返事で、更にからかわれる。
思わず頬を赤らめた私に、静川さんはまっすぐ前を向いたまま肩を揺らして笑った。


「篤樹ばかりが何故モテる。……ってあの頃はよく思ったけど、そりゃ、モテるか。あのルックスじゃ」

「私が覚えてる限りでは、静川さんも人気ありましたよ」

「いや、慰めとかいらないし。……でもそっか。高校時代と今と。再会してまた同じ人を好きになるって、どういう因縁だろうな」


静川さんの言葉に、私はただ苦笑した。


「因縁って……。そんなんじゃないです。でも、篤樹にも似たようなこと言われました」


クスクス笑いながらそう言うと、え?と静川さんが聞き返して来た。
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