【改訂版】ワケあり上司とヒミツの共有
「『激写!海外事業部部長、津田雪哉は女装が趣味のオネエだった!!』って。……何、これ?」

そう言いながら咲希子が画面をスクロールして行く。

「あ、なんか写真が添付されてない?」

咲希子が指さす方を見ると、確かに『写真』の文字。

「イタズラか?」

「まっ……!」

嫌な予感がして、咲希子を止めようとするもクリックの速度の方が早く、写真がパソコンに大きく映し出された。

合計5枚の写真。

そこに写っているのは、ハナちゃんにスコーンの作り方を教わって帰宅した時の、雪ちゃんと私。アングル的に、紛れもなく盗撮された写真だった。

あの時の、あの光。やっぱり見間違いなんかじゃなかった。犯人なんて、一人しかいない。

(笹木がまた盗撮していたんだ……!)

どうしてあの時、もう少し注意しなかったんだろう!?悔やんでも悔やみきれない。

「あれ?」

不意に、隣で画像を見ていた咲希子が呟く。

「4枚目のこの写真。江奈と一緒に写ってるこの女の人……」

咲希子が写真を指差す。私はそれを見て、愕然とした。

1・2・3・5枚目の写真だけ見れば、「知り合いのお姉さん」と誤魔化せたかもしれない。でも、咲希子が指摘した4枚目の写真。

それは、私が雪ちゃんの髪の毛を掻き上げて、痣を(あらわ)にしている物だった。

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