政略結婚から助けてくれたのは御曹司様


その夜、志摩子さんから連絡があった
携帯電話を持っていない私
今時、持ってない方が珍しいが
必要性を感じたことがない


クラスにいても
上辺だけの会話

学園から出れば、迎えの車が来て
家へと送り届けられる



「志津香、本当なの?」


志摩子さんも驚いている様子だ


『はい、父にも了承得てます』


志摩子さんの話だと
以前から私に紹介したい人がいるという
志摩子さんから私の話をされ
その人も今回の総会
私が参加するなら、とOKを出したらしい


志摩子さんがその人に
私のことをどう伝えてるかわからないが
志摩子さんが思っているような
いい姪ではない



「絶対気にいるわー」


志摩子さんの声が高い
志摩子さんが私の母だったら……


いや、ただの無い物ねだりだ
志摩子さんと電話を切った


今日はほどほど疲れた
早めに身体を休めよう


夕食も軽く済ませ
お風呂に入ろうと自室へ戻る途中
母が帰ってきた



真っ赤な口紅をし
プンプン臭うきつい香水


『おかえりなさい、お母様』


「ただいま、志津香。夕食は済んだの?」


『はい、今日は早めに休みます』


いつから他人用語になったんだろう
実の母が、母には見えない現実

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