政略結婚から助けてくれたのは御曹司様



そんなある日


志津香が美紗子を招きたいと言い出した
別にいいと思うが
何故かと聞いたら


『裁縫を教えたい』


彼女は裁縫教室にも通っているが
なかなか上達しないという
そして、初心者の基本であるボタン付けも出来ていないらしい
教室は先に進んでしまい、ついて行けず
どうしようか悩んでいるときに
志津香に相談してきたという


志津香の得意分野だ
なら協力したいと思うのも無理ない



『斗真さん…だめ?』


…っ、はぁー…
志津香にそんなふうにお願いされたら
断れない、というか断るつもりはない



「ああ、いいよ。けど最近は彼女の名前ばかり口にするな…たまには俺も構って」



そう言って志津香の髪を纏めているバレッタを外す
バサっと、解けた髪にキスをすれば
耳まで真っ赤になる志津香



『わ、私は…斗真さんが、一番ですよ』



可愛い、
そう志津香の耳元で囁き
志津香を抱き上げた


わあっ、と焦る志津香も可愛い
抱きかかえて、寝室へ行き
ゆっくりベッドへ下ろした


「明日は休日、時間が許す限りお付き合い頂いてもいいですか?」



志津香は恥ずかしそうに
コクリと頷いた



一緒に暮らして半年
変わらず恥ずかしがる志津香

やっぱり可愛いと思ってしまう俺は
かなりの重症だ
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