政略結婚から助けてくれたのは御曹司様




「志津香」『美紗子』



いつの間にか、二人はそう呼び合っていた
とてもいい光景に、俺の口元がニヤける



『斗真、口元が気持ち悪い』


うるせぇ、



美紗子ちゃんを呼び捨てに呼ぶくせに
俺は「斗真さん」って、壁ありすぎ


そう言って俺は年甲斐もなく拗ねてやった
そしたら、なんと
俺のことを「斗真」と呼ぶようになった



言ってみるもんだな、と思った
敬語も徐々になくなり
今では美紗子ちゃんと話すような感じで話してくれる




「志津香、何か欲しいものあるか?」



『ん?ないよー。あ、新しい圧力鍋がほしいかな?』



志津香は天然なのかと思う時がある
それもまた可愛いところ…だが



「ちがう、来月は志津香の20歳の誕生日だろ?」



そう言うと、え?と返事が返ってきた


まさか忘れていたのか?
あ、あー、と歯切れの悪い返事に
やっぱりかと笑ってしまう



「考えておいて。圧力鍋は買うから、それ以外のもの。せっかくの20歳の誕生日なんだ、遠慮はいらない」


去年の誕生日も結局何もいらないとねだらなかった
だから俺が選んでネックレスをプレゼントしたんだが…

出来れば志津香の望むものを送りたい
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