政略結婚から助けてくれたのは御曹司様




「すまなかった」




何度も志津香へ向けた謝罪
が、志津香は許すことはなかった



志津香の父、赤城眞太郎は
ミカワへ買収された後
赤城会長の好意で長野の別荘で
細々と暮らしていた

昔のように家政婦もいない
自給自足の生活をしていた

髪の毛も白髪混じり、ヒゲも無精髭
昔の面影はほとんど無い

普通の暮らしをしていくだけの
蓄えはある、と言っていた


あの豪遊し女癖が悪いというのが
まるで嘘のような姿



『とっくに離婚していたと思ってた』



助手席に乗る志津香
外を眺めながらポツリと吐いた言葉



「実和子と、離婚はしていない。出て行ったのは確かだが、連絡がつかない。だから離婚届も出せない」


もし、実和子に会ったら連絡するように伝えてくれ、と伝言を頼まれた



「そうだな。けど本当に別れたいのかな?」


志津香が驚いた顔をして俺を見る
俺は前を見ながら、そのまま話を続けた



「眞太郎さん、左手の薬指にまだ結婚指輪をしていたぞ。…本当に離婚したいなら、そんなもの捨てている。けど今でも指輪をしているってことは、まだ実和子さんの事を愛しているんじゃないかな?」



志津香は否定も肯定もしなかった
ただ、俺の腕に手をかけていた
何を言いたいのかわからない

けど、志津香は離婚を望んでいるわけではない、それだけはわかった
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