政略結婚から助けてくれたのは御曹司様



1時間ほど車で走る
途中、昼食をとるが
これから母親に会いに行くと言う
ミッションがまだ残っていたためか
志津香はあまり食が進まない感じだった



『私ね、父より母が嫌いなの』



車に揺られながら
突然ボソッと言葉を発した


どうして?と聞いたが
志津香が答えることはなかった



日が暮れようとした時間
田舎町の繁華街にいた
車を停め、志津香の手を引き歩き出す


昔ながらの商店街を過ぎ細い裏道に入る
道幅も細き、足場も悪い


志津香の手を取り、歩くスピードを緩める


「大丈夫?」



うん、大丈夫
笑って返されてホッとする


少し歩くと、目当ての店に着いた
まだ日も暮れていないから
行灯の灯りも付いていない



ドン、ドンとドアをノックする
……が、反応がない
ドアノブを回したが、鍵がかかっていた



『お店、まだ開いてないんですね』



少し残念そうにしている志津香
なら時間を潰そうかと、
志津香に伝えようとした時



「うちの店に何か用?」



その声に志津香が振り返る
声をかけてきた女の人は
志津香を見ると、口を開けて凝視している



『…、お久しぶりです、お母様』



一度だけチラッと見たことがあった志津香の母、実和子はいつかの着飾ったキリリとした姿とは違い、疲れたような顔をしている
< 122 / 136 >

この作品をシェア

pagetop