政略結婚から助けてくれたのは御曹司様



言ってやろう、と思い口を開けた時
バシャン、と志津香の母は水をかぶっていた



志津香が近くにあった花瓶と生花を手にしている



「なっ…何するのよっ!!」



怒りくるう志津香の母
だが、冷静な志津香は淡々と話し出す




『知っていましたよ。貴方とお父様が契約を交わされていたこと…。貴方が若い男と遊びたい、お金が欲しい。お父様は愛してやまない私を手に入れたい。…それを貴方は知って、お父様に話を持ちかけた。お父様は了承し、貴方は私を差し出した。…私は実の母親に売られたんです。己の欲望のためだけに…』



志津香の言葉に唖然とした
まさか…そんなことが?

俺はてっきり、赤城眞太郎が溺愛しすぎての結果だと思っていた
まさか母親が絡んでいたなんて…

志津香の母もまさか知っていたとは思わなかったようで、青ざめている



『貴方は金銭を要求する時だけ、お父様に甘え、股を広げる下品な人でした。もう二度と会いません。貴方を母とは思いません。何か困っても私や斗真の前に現れないでください。だから早くお父様とと離婚してください、』



志津香は父親ではなく
母親の方を憎んでいた


ここにきて、初めて静かの本音が
聞けた気がする




帰りの車の中、志津香は疲れ切ったようで、ぐっすり眠ってしまった
< 125 / 136 >

この作品をシェア

pagetop