政略結婚から助けてくれたのは御曹司様


中は真っ暗、
本の隙間から微かな明かりが入ってくるが
外の様子は全くわからない
暫くすると、誰かが書斎に入ってきた


誰?
私は息を潜めた
こんなところにいるなんて
誰にも知られたくない


「志津香はいないの?」


この声は、母だ
母が書斎に入ってきたんだ

母にはばれたくない、
そう思うと変な汗が出る


「ああ、さっき準備すると言って出て行ったよ?お風呂にでもはいってるんじゃないかな?、すまないが、そこの本棚から青い本を取ってくれるかい?」


その声の後、こちらに近づいてくる足音
まさか、ここに?

できるだけ身を屈め
息を潜め、ただ見つからないようにした


「これ?」


一つの本が抜かれた
その本が抜かれたことで
暗闇だったスペースに明かりが入る


母が遠ざかっていく安堵
そして、好奇心から
本の隙間から書斎を覗く


これが父の策略とも知らずに……



「ああ、ありがとう」


本を受け取り父は
反対の腕を母の腰に回した


「少し見ない間に、また綺麗になったね」


「んっ、そうかしら…んっ」


父が母の首筋にキスをしている
本を置いた手が、母の身体を捕らえる


その時、父と目が合ってしまった
父は……笑っている

父は……
私に二人を見せようとしているんだ

< 14 / 136 >

この作品をシェア

pagetop