政略結婚から助けてくれたのは御曹司様
ここから見えるのは
父の顔と…必死に父に抱きついている母
耳には母の喘ぎ声だ
見てられ無かった私は
身体を小さく丸め
耳を両手で塞いだ
こんなの聞きたくない
何故こんなことをするのか
私には全くわからない
父が何をしたいのか……
「んーっ……実和子は、声が、いいな」
父が発した言葉でわかった
私は一切声を発しない
早く終わることを考え
耐えるように唇を結ぶ
父は母の喘いでいる姿を
私に見せ、私に学ばせようとしている
そう思ったら吐き気がした
おかしい、
こんなの絶対おかしい。
早く終わって欲しい
もう、こんな生活うんざりだ
母の声が最後に
部屋は静かになった
暫くすると、母がとんでもないことを言い出した
「来週1週間、ドバイに行ってくるわ」
母は旅行が好きだ
私が高校に入った頃から
旅行に行き始めた
父は忙しい、家にばかりいるなら
気晴らしにいいだろうと父が了承した
「そうか、また若い男か?」
母は嬉しそうに、えぇ、と答える
若い男?
母の旅行相手……いや不倫相手だろう
まさか父が知っているなんて思いもしなかった
「金は振り込んでおくよ」
父の言葉に更に困惑する
母が若い男と不倫旅行に行くのに
その旅費を父が出す
今しがた、二人は息を荒らし繋がっていたばかりなのに……