政略結婚から助けてくれたのは御曹司様
『志摩子さん、私を助けてくれた方って、お知り合いですか?』
帰りの車の中で、聞いてみた
「ええ、私よりお父様の方が親しいのよ、だから声をかけられた時は驚いたわ」
祖父の交友関係は広い
そんな中で、志摩子さんが親しい、と
言うくらいだ、かなり親しいと思う
けど、私は全く彼をしらない
顔すら見たことがない
「気になる?」
志摩子さんの声にハッとする
『……い、いえ。ちゃんとお礼も言えてないし……お名前すら聞いてなくて、失礼な事をしちゃいましたから、』
本当に失礼な事をした、それだけだ
けど、志摩子さんは不敵に笑っていた
「お父様に伝えておくわ、お礼の機会を設けてもらわないと、ね」
志摩子さんが何か考えている事はわかったが、それが何なのかはわからない
けど、よくないこと……だろう
それでも、お礼を言えるのならと思い
志摩子さんにお願いをした
あんな嫌な思いをしたのに
彼が助けてくれたことで
何故か嫌なこと……陽介さんの事は
すっかり、どうでもよくなっていた
今は、彼に会って
ちゃんとお礼を言いたい
そして、名前を知りたい
他人に興味を持ったのは
久しぶりで、なんだかくすぐったい
そんなことを思いながら自宅へと戻った