政略結婚から助けてくれたのは御曹司様



「志津香さんが、卒業したら結婚しようと思っているんだ。そうだなー、結納は春くらいがいいかな?」


陽介さんが楽しそうに話す
楽しくない

聞いてくるが、私に拒否権はない



『……はい』



それしか言えない



「そうだなー、志津香さんさえ良かったら、いっしょに暮らさない?今は城ヶ崎さんの所でお世話になっているんだろう?なら、ウチに来たらいい。卒業したらいっしょに暮らすし、今から慣れてくのもいいだろう?」

「あ、ちなみに実家ではないよ。一人暮らししてるんだ、今のマンションは二人で住むのは狭いから、新しいマンションを探そうよ?これからずっと、志津香さんと暮らすんだから、志津香さんが過ごしやすい部屋がいいだろう?」



なんて優しい婚約者だ
世間が見れば、そう思う
誰もが羨むだろう



『……わかりました』




私の返事に満足げだ




「志津香、そう呼ぶことにするよ。だから僕のことも陽介、そう呼んで?さん付けはいらない。いいね?」



私がNOと言わないのをわかっている
それをわかっていて、言わせてるんだ




『…よう、すけ…』



そう呼べば、満足なんだろう
私の手を取り、嬉しそうに触れてくる

それが……気持ち悪い
けど、その手を振り払うことはしない
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