政略結婚から助けてくれたのは御曹司様
陽介の車の中は
訳のわからない音楽が流れている
この高級外車には合わない
キャピ声の歌
もしかして、あの……果穂ちゃん?
陽介をみれば、声に出さない程度に
口ずさんでいた
この果穂ちゃんの事が無ければ
まだ少しは救いだったかもしれない
陽介に気づかれないように
私は小さなため息をついた
陽介からの連絡は頻繁ではない
携帯を持っていない私
陽介からの連絡は志摩子さんの自宅の
固定電話へとかかってくる
たが、総会でのことを知っている
志摩子さんと健彦さんは
陽介の事をよく思っていない
それもあってか
陽介はあまり連絡はしてこない
これでいい
父から解放されてから
身体の調子もいい
薬も飲まなくなり
膣の痛みもない
それの代償が陽介との結婚だと
思えば、全然いい
いつかは陽介とも
身体を重ねることになるだろう
そうなれば
早々に子供を作り
それから遠のこう
他で女を作ったっていい
むしろ、作って欲しいくらいだ
次に会った時
陽介に連れられ、何軒か
モデルルームへと訪れた
「志津香が気に入ったところを買おう」
そう言う陽介
私にしたら、どこも同じだ
私には牢屋にしか見えない
そして、春
私が3学生になる
と、同時に
私と陽介は結納を交わした