政略結婚から助けてくれたのは御曹司様
「…これで何するつもりだった?」
目の前には私が家から隠し持ってきた
カッターナイフ
斗真さんの表情は見えないものの
明らかに声が怖い
「答えろ」
ひぃっ、
怖い
けど陽介の怖さとは違うのはわかる
『…護身?』
「はあ?」
うっ…、言い訳は通用しない
そう思い、どうするつもりだったかを
正直に答えた
陽介との結婚が嫌で死のうと思った、と
「今は?」
そう言う斗真さんの声が
微かに震えていた気がする
『…今は、ない』
そう言うと、カッターナイフを
テーブルにポイっと置き
空いた腕は、私の身体へと巻きついた
「間に合って良かった」
そう言ってくれた斗真さんの声が
やっぱり震えているのがわかった
どれだけ斗真さんが私の為に
頑張ってくれたのか、
どんな思いだったのかなんて
斗真さんにしかわからない
けど…、けど、
それでも、斗真さんは凄い
『斗真さん、ありがとう』
そう言って斗真さんの手に
自分の手を合わせた
温かい…
斗真さんに会ったのは、たった3回
たった3回で…
いや、私達は初めて会った時から
惹かれあっていたんだ
神様が与えた試練を乗り越え
私達はまた巡り会えた…