政略結婚から助けてくれたのは御曹司様



私は首を横に振った



『ごめんなさい、お祖父様』



その言葉に祖父はわかっていたように
笑って私から手を離した



「斗真くん」


そう呼ぶ祖父
私の返答に驚いていた斗真さんは
ワンテンポ遅れて、はい、と返事をし
私たちの前に移動した



「斗真くん、ワガママをもう一つ聞いてくれるかな?」
「斗真くんさえ良ければ、志津香をお願いしたいんだが…」



やはり祖父はわかっていた
斗真さんを見れば、斗真さんも私の視線に気がついてくれて私を見る


「いいのか?本当に」



『斗真さんがよろしければ…』



返答すると斗真さんは私の左手を掴み
私の薬指にキスをした



「離さないけど?」


斗真さんはニヤリと口角を上げた
ゴホンと、咳払いをした祖父に
私は恥ずかしくなってしまった



「志津香、斗真くんと今後のことをよく話し合いなさい」



そう言って祖父は部屋から出て行った



これからどうするのか、全く考えていない



『あ、私の荷物…どうしよう』


陽介と暮らしていた部屋に全て置いてあるが、絶対必要なものはない
あれは陽介に与えられたものだから…


「あー、取りに行くか?」


斗真さんの問いに首を振る
なら、問題ないと斗真さんは言う
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