年の差恋愛
5.この愛を甘く見るな
別れを告げてからも、亜美と茂は顔を合わせなければならない。

しかも、いつも通り、何事もなかったように接するのは難しかった。

…そんな日が何日か過ぎた頃、亜美は、自分はずっとここで働いていてもいいんだろうか?と思うようになっていた。

このままずっと一緒に仕事をしていると、茂が嫌なんじゃないかと思った。

…仕事を辞めよう。

そう思い、辞表届を書くと、鞄に入れ出社した。

オフィスに入ると、中がなんだか騒がしかった。

「…健斗君おはよう。何を騒いでるの?」

「亜美、お前何も知らないのか?」
「…え??」

健斗の言葉に首を傾げた。すると、健斗は溜息をついた。

「市来部長と付き合ってんじゃないのか?」
「…」

「…昇進の話があるって言うのに、今、辞表を出しに行ったって、みんな騒いでんだよ」

「…何、それ」

「…前々から、全部署の統括部長になるって話があって、決定した矢先だって言うのに、あ、おい!亜美!」

亜美は顔色を変え、オフィスを飛び出した。

なぜ?亜美は茂に別れると言った。言えば、仕事を頑張るだろうと思ったから…自分ではなく、違う人でもいい、茂が幸せになってくれるならと、別れを告げたというのに。
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