ピュア・ラブ
「黒川さん、どうぞ」
「あ、はい」

診察室のドアが開けられると、昨日の獣医が私の名前を呼んだ。
雑誌をもとのマガジンラックに戻す。

「今連れてきますから、待っていて下さいね」
「はい」

私は、落ち着きなく髪を触ったりして、モモがくるのを待った。

「モモちゃん、ママだよ」
「モモ」

連れて来られたモモを見て、私は、診察室の椅子から立ち上った。真っ直ぐに手を伸ばしてモモを抱いた。
モモは私がくるんでいたバスタオルの中にいた。
まだ、毛は汚いままだった。

「モモちゃんの怪我が酷くて、シャンプーはまだしていません。ノミの駆除もしたので、毛は拭いてあります。まだ毛が汚いですが、白ネコちゃんですね」

モモは体が白い毛で、尻尾だけ模様があった。細く長いしっぽだ。何処も曲がっていない。
まだ産毛のモモは、肌のピンク色が分かる程だ。
目やにも綺麗になり、瞳をみると、金色に輝いていた。
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