正義の味方に愛された魔女2
三人は、取調室の隣の小さな待合室に、警察官一人と一緒に居た。


龍二は入ってすぐに雅也をチラッと見ただけで、そのあと完全無視で母子二人に話を始めた。


「お待たせしました。私は県警の荒川、こちらはカウンセラーの内田です。

本日は取り調べではありません。
事件後の精神的苦痛をやわらげて、快く捜査に協力していただく為に、
お一人ずつカウンセリングを受けていただきます。
先に佐伯麗子さん、後から佐伯信也さんの順に面談しますので、よろしくお願いします」


淡々と話す龍二を、奥さんは虚ろな目で、なんとなく見ていた。
息子は始終、俯いて貧乏ゆすりをしていて、
雅也は……飛び出すくらい目を見開いて私を凝視していた。




「では佐伯麗子さん、行きましょう」
と、龍二は奥さんを促した。

私がドアを開けた時、
さっきから驚いてずっと私のほうを見ていた雅也が立ち上がった。

手を伸ばして私に声をかけようとする彼の前に、龍二が立ちはだかって言葉をかけた。


「ご主人、奥様が心配でしょうが、内田は人の心が良く解り、寄り添える人間ですから、どうぞご安心ください」


「……はい。あの……内田さん。
今日は麗子と信也をよろしくお願いします」


「……はい、お任せください」


とは言ったものの、
二人を視れば、心の中にはそれぞれの感情をまとった雅也が視えるのだ。

自分の精神状態が少しだけ心配だった。
でも、龍二がいるもの…。




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