正義の味方に愛された魔女2
取調室で麗子さんと向かい合って座った。


昔、隼人を妊娠中に、雅也の心の中に視た、あの女性に間違いなかった。

可愛らしく幸せそうに微笑んでいたあのイメージは、28年以上の年月ですっかり視えなくなっていた。

貴女は今日まで雅也と過ごして来て、幸せではなかったの?


私は彼女の目の前になるべく自然な感じに両手の掌を上にして置いてみた。

彼女は目の前に置かれた両手を、冷たい両手ですがり付くように握った。


「内田さん、貴女、お子さんいらっしゃる?」

《40代?小中学生以上の子が居てもおかしくないわよね。
母親同士なら、気持ちをわかってくれるかも》


そっか、麗子さん悩みを一人で抱えてきたんだ……雅也ってば、何やってんのさ!


「えぇ。こんな私にも今年28になった息子が一人。
シングルで育てたので、麗子さんのご家庭の様に、家族の中で、というわけにはいきませんでしたが」


「そう…貴女も苦労して来たのね…。
私とさほど変わらない年なの?
お仕事なさってるからか、若く見えるわね…。なんだか羨ましい。
ボケたお義母さんの介護と、留守がちで気持ちがわからなくなった主人に気を遣いながらの専業主婦なんて。
老ける一方だわ。
昔はこんなじゃなかったのに。
いつからか、信ちゃん……息子が居れば我慢できる、息子だけが生き甲斐、みたいになっちゃった……」

《貴女にはわからないわ、きっと。
夫に何度も浮気されて、気付かないふりしてその人の母親の面倒みる主婦の気持ちなんて。
だいたい出会ってから結婚するまでも、前の奧さんと二股かけられてたし。

この人、何で再婚しなかったの?割りと綺麗な方なのに。
仕事に生きる女?
たぶん、子供ほったらかしだったんでしょ。
息子って、何の仕事してるのかな?
私みたいにいつまでも子離れ出来ないのも恥ずかしいけど、
放任主義で、ろくでもない子供になるのは嫌だな…》

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