正義の味方に愛された魔女2

② フライングで同棲開始

夜、龍二が身のまわりの物を大きな段ボールに詰めてやって来て、出したりしまったりしていたら遅い時間になった。

夕食を、温めてすぐに食べれるものにしておいて良かった。


荷物を片付けている時に、
《さぁ、今日から同棲始めるぞ!》
ってウキウキしながらやってるの視えたけど…。
引っ越しはまだもう少し先だよね?
気持ちだけ、フライング同棲記念日ね。


本当に、着々と進んでるね…。


「引っ越しは、荷物そんなに無いけど店に響くから営業中じゃないほうがいいだろ?
平日の開店前か……」


「いつでもいいよ?この時期は週末でも暇だし。私も手伝うけど、沙耶ちゃんがお店に居てくれるし。隼人にも手伝わせるなら週末でしょ」


あーそうだ、普通の感覚では、隼人みたいなのは…?


「隼人って言えばね……取調室の会話じゃないけど本当に『何やってんじゃコイツ』なの」


隼人の恋愛傾向と沙耶ちゃんから視たことを簡単に伝えた。


「視えて解っててやってるから始末が悪いよ。
沙耶ちゃんを面白がってからかうのは止めさせなくちゃ。
彼女だか元カノだかの件も自業自得だよ。
魔女の息子は悪魔だわ。
制裁として禁欲させるぞ、もぅ…。

龍二の爪の垢、煎じて飲ませよう!
はい、つめきり。
そこの新聞広げて…切ったらちょうだい!」


「……本当に実行しようとしてる奴、初めて見たゎ。

母親に恋愛事情を隅々まで掌握されてる息子に同情する。
若い奴の禁欲はなぁ……男目線で言わせてもらえば、酷だぞ?

俺は百合だけをずーっと好きだったから他の女に目が行かなかっただけだ。
隼人だって、あっちこっち手を出してる訳じゃないんだろ?
本気じゃないにしても相手は彼女なんだし」


「本気で好きでもないのに出来ちゃうのって…男と女の違いだねぇ」


「いやいや、女だって今はセフレ募集中!とか言ってるだろ?
もう、男女って言うより個人の考え方の問題だコレ」


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