正義の味方に愛された魔女2
④ 魔女召喚
店にどちらが先に着いてもいい様に、
スタッフに、待ち合わせであることと、自分と相手の名前を伝えておくことになっていた。
菜摘さんは入り口を入ると一度、店内をぐるっと見渡して、
レジにいたお店のスタッフに話しかけた。
そのスタッフが私の座っている席まで彼女を案内してきた。
「お待たせしてしまって…すみません。
初めまして、井上菜摘といいます」
「こんにちは。初めまして、内田百合です。
そんなに待ってませんよ?キョロキョロ眺めて楽しんでいたから大丈夫です。
私に会いたいとおっしゃっていた、と隼人から聞きました。ありがとう。
今日はよろしくお願いしますね」
やった!握手のチャンスをものにしたよ。
はいはい、ふむふむ……うーん、なんだかなぁ…。
座ってから、また後でなんとかして接触しましょ…。
「いいぇ…会ってくださって…こちらこそ…。
あの…隼人さんのお母さんって、私、勝手に私の母と同世代…50代だと思ってて……私なにも聞いてなくて……知らなくてすみません。
隼人さんとは、いつ頃から…?」
そこへ、スタッフが注文を取りに来たので中断されたけど、
ここは笑っちゃダメなとこ?いいとこ?
隼人のこと、養子と勘違いしてるよ……そう言えば、龍二と出会った時もそんなことが……。
「私が22歳で生んだんだけどね……極端に童顔なものだから、そういうリアクションをされることはよくあるわぁ…ははっ。
似てない?隼人と」
「えっ?……あ、そう言われれば……すみません…」
「あははは……菜摘さん、さっきから謝ってばかりね。もっと気楽にしてよ」
「隼人さんと……顔もですけど雰囲気も似てるんですね…」
「そ、そうなのかな…。それはいいこと?」
「いいことですよ……二人とも明るくて話しやすくて、一緒に居ると楽しくて……。
でも、お母さんも隼人さんも、誰にでも優しそう……。
あ…嫌な意味ではないんですけど…」
ここぞとばかりにシュガーポットを渡して手に触れた。
グッジョブ私!
やっぱり…嫌な意味だ。
八方美人と言われた経験多数の私だもの、今さら傷付きませんわよ、えぇ。
「……特別な人以外にも優しいってこと?
うーん…私はね、特別な人に見せる優しさと他の人に対する優しさは違うと思うけど。
菜摘さんは、そういうの、感じられない?」
「……わかりません。で、でも優しいことは優しいですよ?思いやりがある人です」
「……優しくて思いやりがあるのかぁ隼人は。へー。
あとは?隼人って菜摘さんから見てどんな男?
…あ、私にはそんなこと言えないかぁ…。
よし、こうしよう。隼人が来る前に聞いたことは、アイツには喋らない。
私が無理に聞き出したんだから、何を言われても悪く思わない」
「……そうですか?
じゃぁ…うーん、どんなって言われても…」
隼人がうち明けた話を、本当に信じてないんだね。
少しでも信じてたら、もしかしたら後で視られる?と思って言えないでしょ。
「私、隼人さんのこと、解らないかも…」
「解らない……?会話はない?……あ、失礼ごめんね」
ちょっとお行儀が悪いけど、テーブルの下で足がぶつかったフリをした。
「いえ、会えばよく話はします。私の話を聞いてくれるし、色々話してくれます。でも、本当の事を話してくれないので……」
あーぁ。信じようともしない心って、面と向かって視えるとキツイわぁ。
『もしかしたらホントなの?』くらい、無いのかなぁ……。
隼人、不憫だねぇ…。
「隼人に嘘をつかれたことがある、と」
「はい」
言い切るし。けっこう速攻だったね。
「嘘つきに育てた覚えは無いんだけどねぇ…」
「お母さんのせいではないですよ。私に原因があって、本当のことを話せるほど信じてもらえてないんです」
出た。信じる信じない、の話。
私は今回、信じてあげてくれとは言わない……。干渉しない覚悟で来たんだもんねー。
「そうなの?なぜそう思うの?」
「……誰にでもあることだと思うんですけど……彼に隠し事をしたり嘘をついたり、私にも少なからずそういう所があるので……。
でも、あきらかに子供でもわかる嘘をついたことはありません。でも彼は………」
「…とてもわかりやすい嘘を付く、と。
それって、本当に嘘なの?」
「信じてくれって何度も言われましたが……とてもじゃないけど……。
頭のいい隼人さんがそんなことを言うなんて……私と別れたいからに決まってるんです。
お母さん、今まで、私の他に誰かと付き合ってる様な素振りは感じられませんでしたか?
お店に行くことがあるみたいですが、パワーストーンショップなんですよね?
女の人を連れて行ったり、誰かにプレゼントを買ってあげたり、してませんか?」
ひょえー!これは……知らん、もう知らん!隼人、早く来いやーー!
「も、もう10年も別々に暮らしているから…。
それに、知っている限り、店にも家にも女の子を連れてきたことなんてない…よ?」
「悪い、遅くなった……」
来たーー!
地獄で仏のタイミング……いや、元はと言えば隼人のせいだよね。
スタッフに、待ち合わせであることと、自分と相手の名前を伝えておくことになっていた。
菜摘さんは入り口を入ると一度、店内をぐるっと見渡して、
レジにいたお店のスタッフに話しかけた。
そのスタッフが私の座っている席まで彼女を案内してきた。
「お待たせしてしまって…すみません。
初めまして、井上菜摘といいます」
「こんにちは。初めまして、内田百合です。
そんなに待ってませんよ?キョロキョロ眺めて楽しんでいたから大丈夫です。
私に会いたいとおっしゃっていた、と隼人から聞きました。ありがとう。
今日はよろしくお願いしますね」
やった!握手のチャンスをものにしたよ。
はいはい、ふむふむ……うーん、なんだかなぁ…。
座ってから、また後でなんとかして接触しましょ…。
「いいぇ…会ってくださって…こちらこそ…。
あの…隼人さんのお母さんって、私、勝手に私の母と同世代…50代だと思ってて……私なにも聞いてなくて……知らなくてすみません。
隼人さんとは、いつ頃から…?」
そこへ、スタッフが注文を取りに来たので中断されたけど、
ここは笑っちゃダメなとこ?いいとこ?
隼人のこと、養子と勘違いしてるよ……そう言えば、龍二と出会った時もそんなことが……。
「私が22歳で生んだんだけどね……極端に童顔なものだから、そういうリアクションをされることはよくあるわぁ…ははっ。
似てない?隼人と」
「えっ?……あ、そう言われれば……すみません…」
「あははは……菜摘さん、さっきから謝ってばかりね。もっと気楽にしてよ」
「隼人さんと……顔もですけど雰囲気も似てるんですね…」
「そ、そうなのかな…。それはいいこと?」
「いいことですよ……二人とも明るくて話しやすくて、一緒に居ると楽しくて……。
でも、お母さんも隼人さんも、誰にでも優しそう……。
あ…嫌な意味ではないんですけど…」
ここぞとばかりにシュガーポットを渡して手に触れた。
グッジョブ私!
やっぱり…嫌な意味だ。
八方美人と言われた経験多数の私だもの、今さら傷付きませんわよ、えぇ。
「……特別な人以外にも優しいってこと?
うーん…私はね、特別な人に見せる優しさと他の人に対する優しさは違うと思うけど。
菜摘さんは、そういうの、感じられない?」
「……わかりません。で、でも優しいことは優しいですよ?思いやりがある人です」
「……優しくて思いやりがあるのかぁ隼人は。へー。
あとは?隼人って菜摘さんから見てどんな男?
…あ、私にはそんなこと言えないかぁ…。
よし、こうしよう。隼人が来る前に聞いたことは、アイツには喋らない。
私が無理に聞き出したんだから、何を言われても悪く思わない」
「……そうですか?
じゃぁ…うーん、どんなって言われても…」
隼人がうち明けた話を、本当に信じてないんだね。
少しでも信じてたら、もしかしたら後で視られる?と思って言えないでしょ。
「私、隼人さんのこと、解らないかも…」
「解らない……?会話はない?……あ、失礼ごめんね」
ちょっとお行儀が悪いけど、テーブルの下で足がぶつかったフリをした。
「いえ、会えばよく話はします。私の話を聞いてくれるし、色々話してくれます。でも、本当の事を話してくれないので……」
あーぁ。信じようともしない心って、面と向かって視えるとキツイわぁ。
『もしかしたらホントなの?』くらい、無いのかなぁ……。
隼人、不憫だねぇ…。
「隼人に嘘をつかれたことがある、と」
「はい」
言い切るし。けっこう速攻だったね。
「嘘つきに育てた覚えは無いんだけどねぇ…」
「お母さんのせいではないですよ。私に原因があって、本当のことを話せるほど信じてもらえてないんです」
出た。信じる信じない、の話。
私は今回、信じてあげてくれとは言わない……。干渉しない覚悟で来たんだもんねー。
「そうなの?なぜそう思うの?」
「……誰にでもあることだと思うんですけど……彼に隠し事をしたり嘘をついたり、私にも少なからずそういう所があるので……。
でも、あきらかに子供でもわかる嘘をついたことはありません。でも彼は………」
「…とてもわかりやすい嘘を付く、と。
それって、本当に嘘なの?」
「信じてくれって何度も言われましたが……とてもじゃないけど……。
頭のいい隼人さんがそんなことを言うなんて……私と別れたいからに決まってるんです。
お母さん、今まで、私の他に誰かと付き合ってる様な素振りは感じられませんでしたか?
お店に行くことがあるみたいですが、パワーストーンショップなんですよね?
女の人を連れて行ったり、誰かにプレゼントを買ってあげたり、してませんか?」
ひょえー!これは……知らん、もう知らん!隼人、早く来いやーー!
「も、もう10年も別々に暮らしているから…。
それに、知っている限り、店にも家にも女の子を連れてきたことなんてない…よ?」
「悪い、遅くなった……」
来たーー!
地獄で仏のタイミング……いや、元はと言えば隼人のせいだよね。