正義の味方に愛された魔女2

③ 一世一代のプロポーズ

「……こんな風に、恋人同士のデートみたいなこと、日頃からしてあげればいいんだろうけど、いろいろと…なぁ。ごめんな」


「日頃こんなことばっかりされたら心臓持たないよ。
今日だって本当は遅くなるところだったでしょ?無理しないでよ。
いってらっしゃい、とおかえりなさい、が言えたらそれでいいの。これからずっとそうなるんだもん、私は嬉しくて大満足」


「そうだよ、俺が帰る場所はこれからずっと百合。

………なあ、百合は結婚も離婚も子育ても全部経験して、今は自由だろう?好きなことを仕事にして毎日イキイキしてる。

俺がそこに入り込んで来て、そんな明るさを分けてもらって…。
もっと一緒にいる時間が欲しくて………一緒に暮らせることになって今でも充分、幸せだ。

百合はカタチに拘らない女だよな?でも俺は責任を持って大切に守っていきたい。
生まれ持った寿命が尽きるまで、ずっと一緒にいたいんだ。

だから百合…俺と結婚して下さい……あ?いや、再婚して下さい、なのか?
……いや、どっちでも同じだよな。

これ……受け取ってくれるだろ?」


……こんなに正直で気持ちのこもったプロポーズの言葉をもらえるなんて、私はなんて幸せな女だろう……なんだか泣きそうだな。

龍二が私の前に出したのは、ベルベッドの小箱。
開けると、立て爪の一粒ダイヤの婚約指輪……。
視えていたけれど……感動してる今、実物を見ると輝きが違う気がする……。


「貸して…?」


龍二が、左手を取って薬指にそれをはめてくれた。

視えないけど、絶対こう思ったはず。
『ピッタリでよかった…』

だって、私は既製品のリングを持ってないし、自作のリングにサイズは書いてない。
バレるのを承知で、私のジュエリーボックスからそのうちの一つを持ち出して、
内緒でジュエリーショップに持っていって、測って貰ったんだもんね……。


「すごく綺麗…キラッキラだね……。
ありがとう。
それに……こんな素敵な場所で、ちゃんと言葉でプロポーズしてくれて、本当にありがとう。

ずっと一緒に…いて……ね」


あ…やばい。
龍二が困るから……泣いちゃダメなのに。


「あぁ、もう……お約束の様に泣いてくれるなよ……本当にそういうところ、いくつになっても素直で純粋で……可愛いよな」


「ご、ごめんごめん……あはは」



「好きだよ百合…。

よーし、リミッター効いてる内に、今晩たくさん言うぞ!
泣かれるのは苦手だけど、鳴かせるのは大好きだからなー」


こらー!下ネタに逃げるんじゃない!
もー。せっかくの素敵な時間が……イケメンのアラフォーが……。

ただのエロオヤジに成り下がり、
家に着く頃には、デレデレ甘々龍二に戻ってしまっていた。


あぁ……あのスマートで紳士な龍二に、今度いつ会えるかなぁ……。





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