正義の味方に愛された魔女2
来た道を二人で家まで歩く。
ここを掴め、とばかりに肘を出され、
有無を言わさず腕を組まされている。

《これからずっと、これがデフォ》
「…な?…照れるなよ?」


「…TPOを考えて、な、なるべく頑張るから…」


おじさんとおばさんの、この、くそ甘ったるい感じ、
公序良俗に反しない?




「あのね、
今ちょっと…家に買い置き無いから、
そこのコンビニに寄るね」


「あー?買い置きって?

あっ………アレ使うもんな、無いよな。

ちなみに俺、ご無沙汰期間が半端無いから
病気持ちではないぞ?

それと…聞きにくいんだけど、その、
50歳の百合に毎月のもんはあるのか?」


バババッ……!!

とっさに飛び上がって三歩離れる…。

思い描いていた物とは
とんでもなく違う話をされて、ドギマギ…。


「えっ?やだ!なんだと思ってんの?
私は、まだ上がってないよ…。
個人差あるからね。
………って、それも確かに要るけど。
買いたいのは違うよぉ!」


「じゃ、俺の下着の替えか?」


「あーそれ要る要る!
………って、それも大事だけど、

私が買いたかったのはアルコールだよ。
なるべく少しの量でたくさん摂取したいから、
度数高めの。種類は何でも飲めるから」


「え…なんで?いつも家で飲まないんだろ?
今さら俺の前でリミッター要らないだろ?」


「いや…あの…普段は必要ないけど…そのね?」


「まぁた…何か悩んで言い辛くなってるな…」


「はい、ごめんなさい!い、言います言います!

実は、
アルコールを飲まないで男の人と、そういうのをしたことが無い……の、です。

の…飲まないと、
最中に、相手が本能的に思ってることが分かって、
お互いに凄くやりにくいだろうし、
恥ずかしいし、
とにかく、それは私にとって、
素面ではあり得ない行為なの!

それも、もうずっと25年以上やってないんだから!!」


「…………はぁー?
うっそ!それヤバイな百合」


「でしょ?
枯れてなければいいけど……。

酔うまで飲まなくていいから。
省エネのリミッターだから、ちょこっと飲むだけ。
それを買いたいの。
はぁ……やっと説明できた。
これでまともに買えるわぁ」


「いや、買わない!」


「は?なんで?」


腕をつかんで視えた気持ちは私が思ってもいないことだった……。


《だって、リミッター無しで、経験ないんだろ?
じゃあ、素面ではおれが初めての男ってことだよな?

だからヤバイって言ったんだよ。

この年で、初めての男になれるなんて、無いだろ普通》


「俺が、百合の最初で最後の男になれるチャンスだ!」


その、ゆるんだニヤケ顔はやめなさいってば!


「いや、それおかしいから!
行為自体は経験してるんだしさ、子供いるしさ。
楽観視しすぎだと思いますが……」


《おかしくない!
素面では処女なんだよ百合!
25年以上やってなかったら、
じっくり時間かけて痛くないようにしてあげなきゃなぁ……楽しみだ》


エッロエロだなぁこの男!


そう言われれば初体験……?
大丈夫かな、
アルコール抜きって……どうしよう!!




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