瑠璃色の姫君
ロゼアが一瞬ビクリと肩を揺らす。
「だってロゼアさんって、後ろにいる執事さんのことが好きでしょ!!」
……え、フリュイ何て?
「なっ、何言ってるのかしら! あんた馬鹿じゃないのっ!?」
あれ…なんかロゼア焦ってる……?
「絶対そうだよ、見るからにそうだもん!」
「そんなことあるわけないでしょう!? お嬢様と執事なんて身分の違う無謀な恋をするはずがないでしょう!」
「無謀だけど、恋は恋するって決めてやるものじゃないでしょ!」
「はぁっ?」
「気づいたら始まってるもんなんだよ!」
「………!!!」
フリュイの言葉に胸を打たれたように目を丸くしたロゼア。
美意識の高いロゼアがまさかの口を半開きにしている。
待って、なんかフリュイが素敵なこと言ってる。
僕この状況について行けてないんだけど。
「ちょっと、ジル……うわ」
わからない状況を聞こうとジルを見れば、紅茶のポットを持ったままフリーズしている。
目はぱっちり大きく見開かれていてそのまま動かない。
どんって押したらマネキンみたいに直立した形で真っ直ぐに倒れていきそう。
ちょっと地味に怖い。