放課後、キミとふたりきり。

目に浮かんだ涙をぬぐいながら、茅乃に電話をかける。

親友はスマホを握りしめ待機してくれていたかのように、本当にすぐに電話に出てくれた。



『もしもし、千奈? 大丈夫?』

「茅乃……ごめん」


ぬぐったそばから、涙がまたこぼれる。

心細さと申し訳なさ、それから自分の情けなさに震えた。



『いまどこ? 矢野は一緒じゃない?』

「うん……。ひとりで、階段の横にいる」

『それなら階段のぼって、視聴覚室においで。鍵借りて、いまみんなでそこで作業してるから』

「わかった……」



言われた通りに視聴覚室に向かうと、クラスメイトのほとんどがそろっていたので驚いた。

それぞれ床や机で、明日のパーティーで使うだろう飾りを作っている。

折り紙の輪をいくつもつなげて作る定番のものや、薄い色紙で作る花など。

買い出しもとっくに済んでいたようで、教室の隅に買い物袋がいくつか並んでいた。
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