放課後、キミとふたりきり。

「きたきた、千奈」

「茅乃……」

「大丈夫? やだ、目が真っ赤じゃない。どうしたの。矢野にひどいこと言われたの?」



親友の顔を見た途端、ほっとしてダムが決壊したように涙がどっと溢れ出た。

わたしを支えるように両肩をつかんできた茅乃は、難し気な顔になる。



「あ、沢井さん! 代わりってどうしたの。何かあったの?」


わたしに気付いた、栄田くんたち男子が近寄ってきた。

それにみんなもこちらを見て、それぞれの作業の手を止める。



「矢野になんか言われたか?」

「気にすんなよ。矢野ってマジ口悪いけど、誰にでもだから」

「そうそう。沢井さんがどうこうっていうんじゃないんだぜ?」


口々に励ましの言葉をかけてくれる彼らを、茅乃はうっとうしげに腕を振って追い払った。


「あー、うるさいうるさい。男子はあっち行ってなさい。まずは千奈の気持ちを聞いてからでしょ」
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