放課後、キミとふたりきり。

「おい! ふざけんな!」


矢野くんの怒声に振り向くことなく、ふたりは我先にと押し合うようにして廊下に飛び出していく。

一瞬の出来事に、わたしはぽかんと彼らを見送ることしか出来なかった。


本当にふたりは何をしに来たんだろう。



「あいつら……何考えてやがる!」


ふたりを追いかけようとした矢野くんにハッとして、思わず彼の腕をつかんだ。


ここで矢野くんを行かせてしまってはいけない。

すべてが台無しになってしまう。



「ま、待って矢野くん!」

「なんだよ沢井。止めんなよ。あいつらとっ捕まえて、何企んでんのか吐かせてやる」


これはまずい。

越智くんと横山くんを疑うところから、クラス全員を疑うことにまでなってしまったら、みんなの努力が水の泡だ。


心の中で悲鳴をあげながら、必死にどうにかしなくちゃと考える。
< 155 / 223 >

この作品をシェア

pagetop