放課後、キミとふたりきり。

わたしの問いかけに、矢野くんはますます困ったように眉を下げた。



「嬉しい……かは、わかんねぇけど。でもデータでもらうのも味気ないしな……。うん。まあ、嬉しいかもしんない」



歯切れの悪い物言いは、彼らしくないものだった。

だからきっと、わたしが落ちこんでいるように見えて気をつかってくれたのかもしれない。


いい加減な同調はしないけど、相手を気遣って切り捨てもしない。

そう思うと、彼の言葉が心からのものではなかったとしても、その優しさが嬉しかった。



「ありがとう」

「……なんだよ。別に気ぃ遣って嘘ついたとかじゃねーよ」

「うん。矢野くん、嘘はつかないもんね」


嘘やごまかしは、彼には必要のないものだから。

そういう彼を、すごいと思う。


矢野くんは机に肘をつき、あごを手に乗せぷいと横を向いた。



「もういいだろ、俺のことは。それよりさっさとやろうぜ」
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