放課後、キミとふたりきり。

わたしがそう言うと、矢野くんは口をへの字にしてわたしの手から写真をひったくった。

じょきじょきと思い切りハサミを入れながら、言い訳でもするようにぼそりと「別に」と呟く。



「俺は別に……誰かのためとか、そんなつもりでいたわけじゃねぇし。ただ腹が立ったから言ってやっただけだ」


口調はそっけないけれど、表情はまるでいたずらの言い訳をする子どもみたいだ。

自然とくちもとが綻び、笑顔が浮かぶ。



「だとしても……ありがとう」


切れ長の目が見開かれ、さっと一瞬頬に朱色が走った。


「だから、やめろって。そういうの」


照れたように言う彼に睨まれたけれど、ちっとも怖くなかった。

たしかに終わりよければすべてよし、と考えると学園祭はみんなにとって良い思い出になったんだろう。


けれど唯一の心残りは、矢野くんをきちんと参加させてあげられなかったこと。

クラスのために憎まれ役を買って出てくれた矢野くんにとって、学園祭は良い思い出にはならなかったんじゃないだろうか。
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