先生、恋ってなんですか?
翌朝。
アラームの音と共に目が覚める。
ぼんやりした頭で今日のご飯どうしようかと考えて、今日は先生来ないんだった、と思い至る。
のそのそと体を起こして顔を洗って、ご飯を食べる。
今朝は炊きたてご飯に、お味噌汁、卵焼き、昨日の残り物のきんぴらごぼうだ。
筍とフキの煮物とひじきの煮付けは晩ごはんにしよう。
食後のお茶を飲み干して、洗い物をしながら今日のことを考えてみる。
そうか、デートか、デートなんだよな。
不思議な気分を噛み締めている。
なんか女子っぽい!と、訳もなく嬉しくなった。
さて。
デートと言えば、服だよね。
そう言えば、何をするんだろう?
出かけるぞ、と脅されたけれどなにも聞いていない。
とは言っても店長のことだから、きっとアクティブに動くわけではないだろう。
クローゼットの中を見て頭を捻る。
よくよく考えたら、仕事にかまけていたからまともに服を持っていない。
「先生の言ってたのは正しかったかもなぁ」
確かに私にあるのは“女子力”よりも“主婦力”かも。
結果として出来上がったのは、一言で言えば無難。
Tシャツの上にコットンのシャツを重ねて膝丈のデニムスカート、靴下にハイカットのスニーカー。
コーディネート的には間違ってないのかもしれないけれど“デートコーデ”的には間違っているかもしれない。
かろうじて、スカートだからいいでしょう、ということで結論をつけて外に出る。
迎えにいくと言われたのは13時。
ちらりと腕時計を確認すると時刻は12時50分。
特に考えていなかったけれど、約束の時刻よりも前に、と言うのは……仕事の癖だろう。
照りつける太陽は眩しい。