半分のキモチ
傷つけたくないと思えば思うほど、小さな嘘が増えて行く。
その嘘が小さな黒い点となり、俺の心に染み込んでくる。

 
頭では分かってる。
どうすれば、宮本が泣かずにすむか。
どうすれば、りさが泣かずにすむか。


頭では分かってる。
俺が誰のそばに居るのが良いか。
だけど、ずっと気持ちがモヤモヤしてスッキリしない。
頭と気持ちが上手く繋がらない。


俺ってこんな奴なのかと、自分で情けなくなる。


それでもりさは俺に笑ってくれる。


「な、来週でも海に行かね?」

「海?行きたい!行きたい!」


りさをあの家に居させたくなかった。
少しでも長く笑って欲しかった。


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