半分のキモチ
デカいイルカフロートを担いでいる三上と浮輪を持った克巳が居た。
見えていたのは海を満喫する気満々の二人の姿。


「お前ら、小学生かよ」


俺が声をかけると「あれ?清水じゃん」と裕介が驚いた顔をした。
克巳は驚いたと言うよりは困惑。


「一人?」

「バカ!何が悲しくて一人で海に来るんだよ」

「だよな」


ゲラゲラ笑って居ると着替えが終わったりさが「勇馬」と声をかけた。


「彼女と一緒か?」

「まぁな」

「彼女も同じ高校だよね。顔は知ってるけど話したことないから、ちょっと恥ずかしいよね」

「何が恥ずかしいだよ」


俺が裕介の頭を叩いて笑った。
りさは裕介の隣に居る克巳に視線をうつして「二人で来たの?」と聞いた。


「あっ、いや。バンドの連中」

「そうなんだ。私もさ、今度ライブに行きたいからチケット買うから教えてね」

「あっ、あぁ」


チラッと克巳と視線が合った。
きっと克巳も同じことを思ってるはず。

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