半分のキモチ
正也の手には缶ビール。
テーブルの上の灰皿には何本もの吸い殻。


「ずっといんの?」

「あぁ、」

「何で?こんなとこでヒマじゃねーの?」

「あぁ、ヒマだよ。ヒマ過ぎて部屋に戻ろうと思ってたよ」


正也はそう言うと缶ビールに口をつけた。


「じゃあ、戻れば良いだろう」

「そうだな」

「……で、宮本と克巳って何処にいんの?」

「屋上だ」

「屋上あんの?」

「あるよ」

「こんな寒いのに?」

「誰も来ないから」


そりゃそうだよ。
屋上があるなんて誰も知るはずねーんだし。


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