君がくれたもの


「…兄貴は生きてます。」

驚く冷夏さんから目を離さずに真剣に、

言えなかったことをいう。

今まで聞いてくれなかったこと、

きっと今なら聞いてくれる、そう思ったから。

きちんと言おう。

「…優香は俺と兄貴の妹です。」

言葉を失い続ける冷夏さん。

「兄貴は、確かに今生きてます。

しっかりと生きようとしています。

…けど、俺の大切な人は今生きる意味もなくして、

死へと着々へと近づいています。

俺の、大切な人に何を言ったんですか…。」

俺の低い声にビクリと震えた冷夏さん。

「俺をあなたと同じ思いにさせようとしているんですか。

日菜子に何を言ったんですか…」

そう言っても話そうとしない冷夏さん。

「…答えてくれないなら兄貴の病院も現状も教えません。」

そう言うとゆっくりと冷夏さんは、

日菜子に言った事を話し始めた。

最後まで聞いた時、思わず冷夏さんの胸ぐらを掴み上げた。

優香と、俺の弱みを利用して別れさせたこの女の神経がわからない。

顔を歪めながら

「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ」

そういう、その女。

けど、俺は許せない。


< 173 / 302 >

この作品をシェア

pagetop