浅葱の桜



「ーーーーっはぁ!」



息が荒れる。肩が震えて手に冷や汗をびっしょりとかいていた。



隣にはスヤスヤと眠ったままのききの姿が。


周りに炎などあるはずも無かった。


何だ……ただの夢か。


安心するものの、不安な気持ちはぬぐい去れなかった。


何もない。何も無いと自分に言い聞かせて横になる。


けれど、バクバクと脈打つ鼓動が治まることはない。



「ゴホッ!」


突然のことで、口を抑える時間もなくてそのまま痰をはきだした。


そして、布団に広がったものを見て絶句する。


そこには白い布団を染め上げるように鮮血が広がっていた。



「う……そ」


なんで。


風邪なんて引いた記憶もないのに。


まさか……。


ぞクリと背筋が寒くなる。


外はまだ蒸し暑く、汗ばむほどだ。


けれど、私にはその温度さえ寒々しく感じられて。


暴れ出す心の臓が痛かった。


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