浅葱の桜
「失礼します。近藤さん」
ある一室に入るとそこには昨日見た近藤さんの姿があった。
「おお、総司に美櫻……君?」
私はぺこりと頭を下げた。
「大丈夫か? 昨日も遅く帰ってきたようだったが」
「はいっ! だ、大丈夫です。ご心配かけて、申し訳ありません……」
「いいから早く座りなよ」
「へ?」
そう言う沖田さんはもう既に座っていて。立っているのは私だけっていう……。
失礼します、とだけ声をかけてその場に座った。
「昨日の話はトシから聞いた。どうやら彼女は誰かに狙われている様だな」
「……命の保障はないようです」
私の話。昨日、一昨日と私を殺そうとした人。
菊姉ぇは彼の事を知っているようだった。でも、どう言う関係……?
「君はあの男の知り合いなのか」
「⁉︎ ああ、違います。菊ね……花鳥座の頭領は知っているようでした」
でも、あの様子じゃ知り合いというより、逃げていたような気が……。
「……だったらその頭領さんが一番怪しいんじゃ––––」
「違います! 菊姉ぇは、私を助けて、あの場所で亡くなりました。それに……」
あの会話。
真意は検討もつかないけど、私の事を話していた。
十五年、私の記憶がぱったりと途絶えてしまった時。それが何か関係しているの……?
でも、この話をする必要はないか。
私自身まだ信じきれてないから。この情報を。