浅葱の桜
土方さんに今日の報告をしたらあからさまに顔を顰められる。
怒られるのかと思って身構えたけど、そんな彼から返ってきた言葉は。
「女癖悪りぃとは聞いていたが、そこまでとはな……」
こんな女に手ェ出すか? と本音で呟かれた言葉に殺意を抱きそうになる。
こんな女って! 確かにそう見た目がいいとは思わないし、女の子らしい事なんて出来ないけど!
仮にも女なんだから!
「……でも、そんなことがあったなら、お前を使うのはもう難しいな……」
「え!?」
「え? じゃねぇだろ。顔が割れてる上に怪しまれてる可能性大だ」
「そんな……」
折角頑張ろうと思ってたのに。
「土方さん。もう一度だけ、私に機会を下さい」
最後にもう一度あの人に会いに行く。
そこで私のことを警戒するようなら、もう二度と私はこの件に関わらない。
「駄目……でしょうか」
「駄目とは言わねぇが……危険だぞ?」
「危険なんて百も承知です」
それがわかってて私はこの任務を受けたんだから。
「許可を頂け、感謝します」
部屋を出る間際。
「無理だけは、するな」
硬い声で告げられた言葉に私は心の中で頷いた。
無茶なんてしません。
ちゃんと、帰ってきます。