浅葱の桜
翌日。
私は、枡屋の元を訪れていた。
手に菓子折りを持って。
山崎さんから渡されたこの菓子折りがどう役立ってくれるのか……。
「す、すいませ〜ん」
「はい〜、って君は」
ぎこちない表情しかできません。
「き、昨日は折角助けて頂いたのにお礼も言わずに飛びさして行ってしまい申し訳ありませんでした」
「いい、いい。気にしなくても。困ってる女子は助けるのが俺の信念だから」
信念と言うより、趣味、その後の展開を算段に入れたゲス野郎じゃない。
言葉に出そうになって唾を飲み込む。
「これ、菓子折りです。貰って頂けますか?」
「ありがとう」
そっと腰に触れる枡屋の手。
……は、い?
「一緒に話しでもしないかい? お嬢さん」
拒否権なんて……ないな。この流れだと。
さわさわと触れる手つきに嫌悪感を抱きながら、私は枡屋とともに奥へと入って行った。