君が好きになるまで、好きでいていいですか?

バタンッと玄関の扉が閉まる音が響き、ホッとしたように後藤がソファーに項垂れる


「あの……………今の方は?」


たぶん私が予想する通りの答えが返ってくるんだろうと思った


「……………元カノ」

……………やっぱり

ソファーに座る後藤が、さっき受け取った書類ケースを横に置いて万由に手を伸ばした

「なんですか?」

その行動に首を傾げた

「あいつの事、ちゃんと話そうと思って。だから手を繋いでいい?」

手? 

よく分からず、立ったまま近付いて伸ばされた後藤の手を取った

……………やっぱりまだ熱がある、手が熱い

「治ってからでもいいですよ。今日は休まないと」


「ああ、でも少しだけ。こうして話すと話の真意が伝わるから」

「………真意?」


手を繋いだままソファーの隣に腰を降ろした


「山森一花、俺の幼馴染みで7年付き合って6年前に別れた元カノだよ。」


「一花さん…………綺麗な人ですね」

7年も付き合ってたんだ…………
そう言えば昔幼馴染みと付き合ってたって言ってたっけ…………



「俺と別れた後、地元で結婚して、最近離婚して、そんで今は浅野先輩の彼女やってる」


…………ん? 浅野?


「え"っ! 主任の?!」

た、確かに今日は浅野主任は出張中だったっけ


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