君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「本当にもう別れたんだ、それに俺は万由と別れたつもりはないから」
「っ?!」
「3ヶ月くらいしか経ってないんだ、気持ちは全然変わってないし、ずっと想ってた」
「……………」
ほどけない慧斗の腕の中でふるふると首を振る
「あのね、私はでも………今」
「…………知ってる。あいつだろ、あの営業マン。会社の奴が見掛けたって聞いた、万由と二人でいるところ………」
え…………あっ
腕が緩んで肩から両手で振り向かされると
目の前で顔を突き付けられた
「いつから付き合ってた?」
「…………っ」
そう言われて咄嗟に目を逸らした
実際は付き合ってはない………だって、お試しの社内恋愛擬似体験ってままだし
万由のその仕草に、溜め息をついて自分の胸の中に抱き込んだ
「っ?!」
「やっぱり万由、寂しかったんだろ、俺と別れて…………だからそれに着け込まれたんだろ、あいつに」
「っ! ちがっ………!!」
「万由………やり直そう。大丈夫、今度は上手くいくって」
抱き込んだ慧斗の腕に力がこもる
「…………離して慧ちゃん、痛いよ」
そう言われて腕を緩めた慧斗が、万由の顔を覗き込む
「万由…………」
確かに寂しかった。なんだか先が見えなくて…………でも
「着け込まれてなんかない………私が」
俯いたままの万由の額にキスをしてきた慧斗
顔を上げると、頬に手を添えてきた
「万由、ごめんな。それに和音はもう会社も辞めていないんだ」
「え……どうして?」
「ちゃんと話し合ったんだ本当に、時間がかかったけど」
…………あの和音さんが?
どう考えたって慧ちゃんから離れそうになかったのに
初めて会った時、居酒屋で会社の人に絡まれて慧ちゃんに助けて貰った時、慧ちゃんの後ろから私を睨みつけてきた彼女の目
正直ゾッとした
それに、踏み込むなと言わんばかりの、和音さんの跡だらけだった慧ちゃんの部屋
慧ちゃんが見ているところでは笑顔だったあの人の顔が浮かぶ
「…………」