君が好きになるまで、好きでいていいですか?
………慧ちゃんの周りにあの人がもういない?
「俺にとってずっと特別で大切なのは昔から万由だけで、変わらないよ」
顔を上げると、ゆっくり降りてくる慧斗
万由は、視線を逸らし顔を叛けた
「万由?」
静かに首を振る万由に、慧斗は小さく息をついた
「今はあいつと付き合ってるんだったな。でももう大丈夫だろ、俺がいるんだし……」
「……………」
「俺にはもう、万由しかいないよ」
スッと離れて、万由の頬にあった手で頭を撫でられた
「いいよ、俺待ってるから。だから今度は万由の番だよな」
「私の番………?」
それって……私が後藤さんから離れて慧ちゃんのところに戻るって事?
戻る…………?
慧ちゃんとのあの別れって、和音さんがいなくなればそれでなかった事になるの?
「万由、帰ろうか」
結局、お昼前にはマンションまで送ってもらった
「このままどこかお昼でも食べにいかない?」
そうゆう慧斗に首を振った
「じゃあ部屋に入れてくれない?」
「…………ごめん慧ちゃん、金曜から部屋に帰ってないから、送ってくれてありがとう」
そんな理由より、私はまだやり直すなんて言ってない
「そっか………」
「じゃあ」とシートベルトを外しドアに手を掛け、車から降りようとすると、もう一度慧斗に呼び止められ、腕を掴まれた
終始俯いたままの万由に慧斗の手が伸びて、顎を掴み上げられ、顔を傾けてきた彼の唇が万由に堕ちてきた
「まっ…………ん?!」
一瞬重なった唇から顔を叛け、両手を伸ばして慧斗の胸を押し出した
「……………」
万由に胸を押されたまま、慧斗が溜め息をつく
私が慧ちゃんのとこに戻る?
じゃあ、後藤さんとの事はどうなるの?
帰ってから、何もしないでいつの間にか時間が過ぎていて、見れば既に18時を過ぎていた
【 帰って来た? 電話していい? 】
あ、後藤さん……………帰ったらメールするって言ったんだった
すぐに電話をした
「すみませんっ バタバタしてて…………」
『いや、休みの間一度会いたかったんだけど、今からじゃ無理かな』
今から…………?