君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「明日から出張でしたよね…………」
『ああ、3日間でね………』
「そうでしたね。だったら今日はゆっくり休んでください」
そう言って会うことを遠回しに断った
気持ちのどこかに後ろめたさあった
『うん…………いや俺は大丈夫なんだけどね』
「?」
電話口からその場の音が微かに聞こえる
「…………後藤さん、今どこですか?」
『ああ………えっと』
マンションの前にある横断歩道の信号から聴こえる音が、電話口から重なっていた
「もしかして、うちの前ですか?」
『ははっ……………そうかも』
マンションの前に、見覚えのある車
その車に近づくと、少しはにかんだ表情をした後藤が運転席から出てきた
「ごめん」
「なんで謝るんですか………?」
絶対連絡するって言ったの、待っててくれたんだ
「車、乗ってもいいですか?」
「もちろん」
暫く車を走らす後藤、どこか目的に向かっている様子に途中で気づいた万由
「どこ行くんですか?」
わざわざ車で乗り付けて、様子を見にきただけではなかったみたい
「うん、実は見せたい物があってね」
運転をしながらそう言う後藤
だんだんと歩道に人通りが多くなってきて、車を停められる場所を探し始めた
通りの人達の中には何人か浴衣姿の人もいる
「お祭り?」
そう聞きながら思わず顔が綻ぶ
「好き?」
「うんっ好き! あ」
思わず素直な言葉がでてしまった
万由の弾んだ声に、「良かった」とクスクス笑う