君が好きになるまで、好きでいていいですか?
車を少し離れた場所のパーキングに停め、賑やかな縁日の所まで、人の波に流れながら歩く

だんだん人の密度が多くなり、隣にいる背の高い後藤から離れそうになり、咄嗟にジャケットを掴んもうと手を伸ばすと、その手を後藤の手のひらに救い取られた

「大丈夫?」


見上げれば、ちゃんとこちらを気にしながら歩いてくれる後藤

「……大丈夫です」

手を繋がれたまま、ゆっくりと人混みの中誘導してくれる


後藤さんの目線の高さだと、人混みでも便利なんだろうなぁ……


この手に安心感を感じて、万由もキュッと握り返した




焼きそば、たこ焼きにいか焼きを袋にいれて、お互いの手には林檎飴とチョコバナナ

「こんなに買って、どこで食べるんですか?」

人が多くて食べる場所なんて見当たらない

「こっち、こっち」

お金を払う時以外は手を繋いで、引かれる様に移動する。

途中、寄り道で射的にチャレンジして見事に捕ったプラスチックのネコの貯金箱を袋に入れ、駐車場とは違う方向へ


ひとつのビルの中へ入って行く

ビルに明かりが着いてないから、人はいないみたいだけど…………

警備員らしき人が暗い廊下の扉から顔を出した

「すみません。いいですか?」


「はい、後藤さん聞いてますよ、どうぞ。帰る時声だけ掛けてくださいね。」

そう言ってエレベータまでの廊下に明かりを着けてくれた

「丁度いい時間だな」

「?」


エレベータでそのビルの屋上まで上ると、うちの会社と同じくらいの高さなのに、先が遠くまで見通せた

暗い空が広がっている


「暗いけど大丈夫?怖くない?」

「…………ここで食べるんですか?」


ベンチもない、室外機の土台らしきコンクリートに腰を降ろした

本当に暗くて、食べ物だって見え辛い
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