君が好きになるまで、好きでいていいですか?

 その時だった


暗い空に一筋の光が走ると

 
 ババァーーンッ!!


「わっ?!」

明るく花火が光り、盛大な音が鳴る

ビルとビルの間がまるてスクリーンの様にその中心で花火のショーが始まった

その後も続いて色とりどりの花火が暗かった空に広がる

「すごいっすごいっ!!」


思わず声を上げた

隣で座る後藤に、そのままの顔を向ける

「前に得意先の人にここから花火がよく見えるって聞いたんだ。ダメ元で屋上に入れるか頼んだら、名刺渡して身元がしっかりしてればOKだって予約しておいたんだ」


得意げにそう言って、花火を見上げて喜ぶ万由に、目を細め優しい笑顔向ける後藤



PM8 : 00から始まった花火は1時間のあいだ、目の前の空に大きな光りの花を咲かせた

それをさっき買った焼きそばやいか焼きを食べながら二人で見上げた

「見るか食べるかどっちかにしないと、ほらっ」

いか焼きのタレを顔につけた万由を笑いながら隣から後藤の指がその頬を拭う

「あ、ありがとうございます………」

やだ………女子力ゼロじゃん私


一瞬の近さに思わず俯いた。
意識をすれば、この二人だけの空間に花火の音以上心臓が煩い


周りの暗さと、花火の光で耳まで熱い火照った顔を誤魔化すことが出来て助かった


「…………」


そんな万由に目を細めている後藤がゆっくりと口を開いた

「万由…………実家で何かあった?」

花火の上がる音が鎮まる間に、耳元に近づいて
徐に後藤が訊いてきた

「え……?」

後藤に顔を向けると、思わぬ真剣な表情でドキンッと胸が跳ね上がる

「親戚の人の入院は大丈夫だったの?」

親戚?って言ってたっけ…………

「あ……うん……大丈夫です。」

急にそんな事を言われて、瞬間に思い出す慧斗の言葉
後ろめたさで視線を逸らし、花火を見上げる

『今度は万由の番だよな』


< 233 / 333 >

この作品をシェア

pagetop