君が好きになるまで、好きでいていいですか?
俺も冷静に話しているつもりなのに、先輩との間にカウンター内から翔さんの手が入った
「静かに飲んでください。由さんも」
後藤の飲み干したグラスをさげた
「万由と、なに話したか知らないけど別に逃げてる訳じゃない………」
あの子の中で、ずっと想っていた幼馴染みだから、だからこそそんなに簡単に自分を受け入れてくれるなんて思っていなかったはずなのに
ただの独占欲の塊で、別れた事につけこんだのは確かだ………
考えなかった訳じゃない、彼女の中の彼への想いが燻るのを
あんな風に泣きじゃくっていた彼女の長い間の恋心を
また強引に取り返されてしまう不安にずっと苛まれながらも、これからも一緒にいられると思っていた
所詮俺が強引に取り付けた「お試し」の恋愛だとしても…………
「元カレにやり直したいって言われて、俺が悩ます訳にはいかないだろ。選択は万由が決める事だから………」
「だから一花と同じだろ、そうやって答えを自分で出さないで相手に丸投げしてるって言ってるんだよ………」
「………………」
「ああっそれと、そう言えばあの時一花の病院で、万由ちゃんが知り合いと揉めてたなぁ………」
わざとらしく独り言でもない声で話し出す浅野に、視線だけ向ける
万由の知り合い………?
「あとから少しだけ事情は聞いたんだけど、なんだか複雑そうだったんだよねぇ」
翔さんにグラスを上げてもう一杯の仕種をしながら浅野も視線だけ後藤に向けた
そのまま浅野は病院で見た出来事を話出した
「…………………」