抜き差しならない社長の事情 【完】
エピローグ


道行く男は必ずと言っていいほど、曄を視線で追いかける。


酔っている男はなおさらで、
ふらつく足を止め、舌舐めずりする不届きな者さえいた。


それが誇らしいのか不愉快なのか、


何かを確かめるように曄を振り返った神田は

「曄、寒くない?」と聞いた。



「うん、大丈夫」とニッコリ微笑んだ曄は、

それでも寒そうに神田の腕に手をまわす。



「でも、心が寒い

 道行く女の子がみんな専務のこと見てるんだもん」
< 155 / 169 >

この作品をシェア

pagetop