ナイショの恋人は副社長!?
――『後ほど、迎えに行きますので』
もうすぐ終業という頃に、敦志から改めて連絡が来た時に、そう言われていた。
優子は、通常通りに仕事を終えると、私服に着替え、約束の社員通用口でもある裏手に向かった。
そこは、つい先日、敦志を待ち伏せしていたところだ。
前回は隠れるようにいたわけだが、今回は違う。
言ってみれば〝待ち合わせ〟。もちろん、プライベートなものではなく、ビジネスでのことだが、優子にとってはどちらでも同じような緊張感だ。
敦志の姿がまだ見えないと辺りを窺っては、落ち着きなく顔や足を動かしてしまう。
(こんなことになるなら、もっといい服を着てくればよかった)
視線の先のガラス越しに見える自分の服装を見て、ひとつ息を吐いた。
白のパンツスタイルに、ピンクベージュ色をした、タックシフォンのバルーンブラウス。
みすぼらしい恰好には見えないようにとは気をつけてはいるが、すべて安価で揃えているものということも事実。
普段は通勤くらいしかしないのでここまで気にしたことはないが、今の状況下にもなればどうしても気になってしまう。
(それに、秘書の人もいるはずだよね? 素敵なスーツだったし……。もしかして、スカートの方がよかった? でも、突然だったから)
ガラスの扉の前であれこれと考え続けていた優子は、背後に気配を感じてハッとする。
視線を上げると、ガラス越しに目が合った人物が敦志だと気づき、一驚を喫する。
「副社長……!」
「お待たせして申し訳ありません」
「いっ、いえ! 大丈夫です!」