花盗人も罪になる
香織は大輔の方を向いた。

「大輔、こちら私の上司の村岡主任と、奥さんの紫恵先生と、姪御さんのののちゃん」

「先生?」

「紫恵先生はお母さんと私の手芸教室の先生なの」

大輔は立ち上がって逸樹と紫恵に軽く頭を下げた。

市橋(いちはし) 大輔です。香織がいつもお世話になってます」

「村岡です、よろしく」

上司に紹介したり、『香織がいつもお世話になってます』なんて言われると、なんだか少しくすぐったい気分だ。

紫恵は逸樹の隣で、照れくさそうに視線をさまよわせる香織を見てニコニコ笑っている。

「香織さん、いつもののちゃんと主人がお世話になってます」

紫恵がペコリと頭を下げた。

「いえ、村岡主任にお世話になっているのは私の方です! 紫恵先生が村岡主任の奥さんだって聞いてビックリしました」

「ホント、世の中狭いですね」

大人たちが挨拶していると、りぃと遊んでいた希望がそばに来て、香織と大輔の顔を交互に見た。

「お兄ちゃん、かおちゃんのお友達?」

香織は身を屈めて希望の目線の高さに合わせ、希望の耳元に口を近付けた。

「このお兄ちゃんはね、私の大好きな人。大輔っていうの」

「大好きな大輔?」

「うん」

「じゃあ、だいちゃんだね!」

希望が大輔を見上げてニッコリ笑った。


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