花盗人も罪になる
希望はりぃのリードを手に元気よく遊歩道を歩きだした。

「ののちゃん、私も行く!」

紫恵と香織がその後ろをついて歩いた。

「素敵なご夫婦ですね。憧れます」

「憧れなんて……普通の夫婦ですよ」

紫恵は『普通』だとさらりと言ったけれど、何年も連れ添った相手を好きだと自然に言えるのは、きっと幸せなことだと香織は思った。



その頃、ベンチでは初対面の男二人がどことなく所在なさげに並んで座っていた。

「しばらく連絡が取れないって近田さんから聞いていたんですが……彼女に会うためにこちらに戻って来られたんですか?」

「はい、まぁ……そんなとこです」

「どうして連絡が取れないのかって彼女はずいぶん心配していましたけど……」

「ええ……いろいろありまして……」

黙っていても間がもてないので、大輔は香織に連絡できなかった理由を逸樹に話した。

「大変でしたね」

「ええ……。もし村岡さんが同じ状況になったら、一番に連絡がいくのは誰だと思います?」

「妻ですね」

逸樹が当たり前のようにそう言い切ると、大輔はため息をついた。

「俺が病院で目覚めた時には両親と上司がいました」

「病院側がご両親に連絡したんですね」

「今の俺と香織は他人同士なんだって、改めて思い知らされたというか……」


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