花盗人も罪になる
「まぁ……それで香織が幸せなら別にいいんだけどさ……」

円はチキンソテーを口に入れて、モグモグと口を動かしながら何かを考えている。

「ねぇ……私って女として魅力ないのかな?」

円の唐突な言葉に、香織は驚いてむせそうになった。

「そんなことはないと思うけど……。何? 急にどうしたの?」

「私に魅力がないわけじゃないなら、あの人に女を見る目がないのかな?」

香織には円の言っているその相手が誰なのか、さっぱりわからない。

でも確か、相手は既婚者だったはずだ。

「もしかして……前に言ってた人に告白でもしたの?」

「好きだって言ったよ」

奥さんのいる人に告白するなんて、香織には円の考えていることがわからない。

別居婚とはいえ大輔の妻となった香織は、大輔の周りに円のような女の子はいないかと少し不安になる。

「言ったんだ……。で、相手はなんて?」

「奥さんがいてもいいって私は言ったんだけど、女としての私には興味ないって言われた。奥さんを愛してるんだってさ」

「ふー……ん……?」

香織は大阪に出張していた3人の主任を思い浮かべた。

どう考えても、そんなことを円に言いそうな愛妻家は一人しかいない。


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